通信業界のこれから

5G


近年、Webコンテンツの大容量化、IoTデバイスの普及などの背景もあり、データ流通量(IPトラフィック)は爆発的な増加の傾向にあります。また新型コロナウイルス感染症をきっかけに、まだしばらくは物理世界で行われるものと考えられてきた様々な活動のデジタル化も加速すると考えられており、今後より先端技術を活用するためのインフラ技術として、通信技術は重要な基盤となっていきます。

Society 5.0では仮想空間と物理空間を高度に融合させたシステムによる、我が国が目指すべき未来社会の姿が提唱されていますが、その実現に必要不可欠な要素と言われているのが5G(第5世代移動通信システム)です。
5Gは 「eMBB(超高速・大容量)」、「URLLC (低遅延・高信頼)」、「mMTC (多数同時接続)」 の3点の要件を満たす通信システムのことを指し、これまでの移動通信システムの進化、様々な分野での活用を目指した技術です。

ローカル5G


5Gを実現する通信手段は大きく分けて2つあり、大手通信事業者によって全国的にサービス展開されている通信網をパブリック5Gと呼びます(※一般的に5Gと呼称されるものはこれに該当)。一方でそれら事業者に依存せず、企業や自治体を対象に一部のエリアまたは建物・敷地内に専用で構築した通信網をローカル5Gと呼びます。
ローカル5Gは、免許制となっており免許を取得した企業や自治体、個人が構築を許可されます。
総務省は2020年12月18日にローカル5Gの拡張周波数帯についての免許申請の受付を開始、それを受け2021年1月25日時点で43社の企業や自治体が免許取得の申請を行っています。今後はベンダーやSierを始めとする免許取得企業が企業や自治体向けにローカル5Gの導入、設計、構築、運用などのサービスを提供するといった方式が主流となるでしょう。

5Gを基盤として期待される分野


パブリック5Gは、都市部を中心に段階的に整備が進められていますが、使用できるエリアが限定されている点がデメリットとして挙げられます、その点ローカル5Gであれば山間部などパブリック5Gの範囲外エリアであっても5G通信を利用することが可能です。
また外部ネットワークと遮断された環境でデータの送受信を行うため、災害や通信トラブルなどの影響を受けにくいことや、SIMカードによる認証方式など、Wi-Fiと比較してもよりセキュアかつ広範囲に安定した通信環境の実現が可能です。
これらの点からローカル5Gはコンシューマー向けというよりは、自治体によるインフラ管理やスマートファクトリーなど地域や産業分野での期待が高まっています。
5Gの活用領域は多岐にわたりますが、パブリック5Gとローカル5Gそれぞれの特性を理解した上で目的に合わせて使い分けることが重要と言えるでしょう。

出典:総務省 – 第5世代移動通信システム(5G)の今と将来展望

5Gのその先へ


5Gの社会実装が進みいよいよ本格的なサービス開始が期待される中、通信インフラをめぐる技術的な議論はその先に向かっています。

総務省は2020年1月からBeyond 5G推進戦略懇談会を開催、同年6月には「Beyond 5G推進戦略 -6Gへのロードマップ-」を公表するなど、Beyond 5G導入を踏まえた総合戦略の策定に向け、5Gに続く新たな次世代通信規格の議論が行われています。

出典:総務省 -Beyond 5G推進戦略 -6Gへのロードマップ-

Beyond 5Gとは、「高速・大容量」「低遅延」「多数同時接続」といった5Gの要件事項の高度化に加え、「超低消費電力」「超安全・信頼性」「自律性」「拡張性」といった持続可能で新たな社会価値の創造に資する機能をもった次世代(6G)の移動通信システムで、仮想空間と物理空間を一体化したCPS(Cyber Physical Systems)のインフラ基盤として2030年代の導入が見込まれています。

総務省はBeyond 5G推進戦略について、5G による通信や IoT の高度化と普及の拡大を進めつつ、その先に向け、地上、海、空さらには宇宙までも視野にいれ、ICT インフラの整備を総合的に周到な戦略のもとで計画的に進めていく未来 ICT インフラ整備戦略である、と提言しています。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生がこの戦略の背景として存在しており、コロナ渦のような状況下で人々の安全と経済活動を円滑に維持するために、ICTインフラの整備は急務であると同時に、ポストコロナなど今後発生しうるであろう未曾有の危機に対する備えとなるでしょう。

当社の取り組み


5G時代、Beyond 5G時代を見据え、基盤技術の開発に携わるだけではなく、それらの安全な運用や活用といったシーンでも持ちうる技術を提供してまいります。
また、ローカル5Gの活用もあり、各企業が協力に推進するICT化のサポートが可能だと考えています。
通信分野の技術支援に積極的に取り組むことにより、来るべき新しい時代の基盤を支えることで社会貢献を果たしてまいります。


自由な発想を未来へ