製造業界のこれから

日本の製造業の課題


かつて日本製の家電や自動車は海外の市場を席巻しており、この国の製造業は様々な面において自他ともに認めるトップランナーでした。しかし昨今、平成が「失われた30年」と言わるように、かつては世界の企業の時価総額ランキングのTOP20のうち大半が日本企業であったのに対して、今では43位のトヨタ自動車が最高位という状況で、日本の製造業は斜陽化していると言われます。

そんな今日本の製造業の課題を、経済産業省は『我が国の製造業を取り巻く環境は、かつてない規模と速度で急変しつつあり、かつ極めて厳しいものとなっている。この環境変化の「不確実性」こそが、我が国製造業にとって大きな課題となっている。』と提言しています。またその上で、日本の製造業に求められていることを以下のように提起しています。

  1. 企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)強化の必要性

環境や状況が予測困難なほど激しく変化する中では、企業には、その変化に対応するために自己を変革していく能力が最も重要なものとなる。そのような能力を、「企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)」という。

  1. 企業変革力を強化するデジタルトランスフォーメーション推進の必要

IoT や AI といったデジタル技術は、生産性の向上や安定稼働、品質の確保など、製造業に様々な恩恵を与える。単に新しいデジタル技術を導入するというのではなく、それを企業変革力の強化に結びつけられる企業が、この不確実性の時代における競争で優位なポジションを得ることができる。

  1. 設計力強化の必要

急激な環境や状況の変化に迅速に対応する上では、製品の設計・開発のリードタイムを可能な限り短縮することが必要となる。また、製品の品質・コストの8割は設計段階で決まり、工程が進むにしたがって、仕様変更の柔軟性は低下する。それゆえ、迅速で柔軟な対応を可能にする企業変革力を強化する上では、設計力を高めることが重要である。この設計力を高める上では、部門間や企業間を横断する連携が不可欠であり、また、バーチャルエンジニアリング等、デジタル技術の活用が大きな力を発揮する。

  1. 人材強化の必要

我が国製造業のデジタル化を進める場合にボトルネックとなるのはやはり、人材の質的不足である。製造業のデジタル化に必要な人材の能力として、システム思考と数理の能力と特定している。さらに、デジタル化に必要な人材の確保と育成の方策について、労働政策の観点からは、デジタル技術革新に対応できる労働者の確保・育成を行い、付加価値の創出による個々人の労働生産性をより高めることが重要である。

出典:経済産業省 – 2017年版ものづくり白書

スマートファクトリー


上記から、企業変革力の強化にはデジタル化が必須条件であり、各国でもインダストリー4.0や第4次産業革命など、製造業のIoT活用などデジタル化の波は広がりを見せています。まさに製造業界は現在変革の過渡期にあり、日本政府もSociety 5.0やConnected Industries(コネクテッドインダストリーズ)を発表、さまざまな政策を打ち出しており、その中で製造業のDX化のテーマとして掲げられるのが、スマートファクトリーです。

スマートファクトリーとは、工場内へのIoTの導入によって、工場内の設備やあらゆる業務の見える化、自動化、省人化することで利益や生産性の向上を図ることを指します。
スマートファクトリーは工場内のデジタル化をイメージしがちですが、最も重要なのは設計と製造を一体に進めることにあります。
製造工程には、大きく分けて、研究開発→製品設計→工程設計→生産などのプロセスであるエンジニアリングチェーンと受発注→生産管理→生産→流通・販売→アフターサービスなどのプロセスであるサプライチェーンがあります。そしてスマートファクトリーではこれらをシームレスに統合し、高度化することが最重要であると言われています。

出典:経済産業省 – 2017年版ものづくり白書

経済産業省 – 2017年版ものづくり白書より引用

当社の取り組み


スマートファクトリーの取り組みは、実際にはレガシーシステムの残存や部署間の壁によるデータ連携の遅れなど様々な課題により、実現まで至っていないケースが多いのが実状です。まずは、新たなものづくりの構築について取り組むことが重要なのではないかと考えます。
当社としては、今となっては「レガシー」と呼ばれるシステムの時代から製造業に携わってきた実績と、最新技術を有する『デジタル人材』を、製造業の各分野の必要に応じて活用し、今後の日本の製造業の躍進に貢献できるものと考えております。


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