公共インフラ・まちづくりのこれから

スマートシティ


「Society 5.0」と呼ばれる現実空間と仮想空間が融合した社会の到来を目前にした現在、先端技術による経済社会構造の大きな変革が進んでおり、その変化は更に加速度的に進むとさえ考えられています。それら変化はまちづくりの分野においても、大きな影響をもたらすと予測され、先端技術を用いた都市政策における開発コンセプトとなるのが「スマートシティ」です。

国土交通省によると、スマートシティとは「都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」と定義されています。
つまりスマートシティの取り組みとは、日本の抱える社会的問題に対して、先端技術を活用して課題解決できる都市、課題解決を続けるエコシステムを作るということです。いわば都市のDX推進とも言えるでしょう。

日本は人口減少・超高齢社会、環境問題など様々な課題に直面していることから、課題先進国であると言えます。しかしこれは決してマイナスなことばかりではありません。高い技術力と開発力を保有していることに加え、課題をその手にしているということは、先行して新たなソリューションを提示することが出来るということでもあります。これは課題解決のみならず、快適性や利便性を含めた新しい価値基準の創出をもたらす大きなチャンスと捉えることができます。

出典:国土交通省「スマートシティの実現に向けて(中間とりまとめ)」(平成30年8月)

スーパーシティ構想


「スマートシティ」が個別分野における先進技術を徐々に導入する、個別分野特化型の手法であったのに対し、「スーパーシティ」は複数の分野に幅広く取り組む分野横断型の手法です。いずれも最終的な目標は、未来都市の創生ですが目指す先が部分最適化なのか、全体最適化なのかが両者の大きな違いと言えます。

『「スーパーシティ」構想の実現に向けた有識者懇談会』の最終報告によると、スマートシティは個別の最先端技術の実証にとどまっていたとして、技術・開発者側の目線の取り組みとなっている部分があり、住民目線が置き去りになっていたことがうかがえます。スーパーシティでは技術の先進性を競い合うのではなく、あくまで住民目線の課題を解決するソリューションが前提となっており、その点でスーパーシティー構想はスマートシティと一線を画す取り組みと言えるでしょう。スーパーシティ構想はSDGsの実現にも大きく貢献するため、ロゴマークにはSDGsのロゴが入っており、「J-Techchallenges SDGs」がキャッチフレーズです。

(内閣府『スーパーシティ解説』より引用)

内閣府はスーパーシティ構想の中で、「AIやビッグデータを活用し、社会のあり方そのものを変えていく都市」と提唱しています。
そのため「丸ごと未来都市を作る」を目指すスーパーシティでは、以下の10領域のうち5領域以上をカバーする必要があります。

移動 自動走行、データ活用による交通量管理・駐車管理、マルチモード輸送(MaaS)など
物流 自動配送、ドローン配送など
支払い キャッシュレスなど
行政 パーソナルデータストア(PDS)、オープンデータプラットホームワンストップ窓口、APIガバメント、ワンスオンリーなど
医療・介護 AIホスピタル、データ活用、オンライン(遠隔)診療・医薬品配達など
教育 AI活用、遠隔教育など
エネルギー・水 データ活用によるスマートシステムなど
環境・ゴミ データ活用によるスマートシステムなど
防災 緊急時の自立エネルギー供給、防災システムなど
防犯・安全 ロボット監視など

出典:国土交通省「スマートシティの実現に向けて(中間とりまとめ)」(平成30年8月)

都市OS


スーパーシティで、最も重要になってくるのが都市OSと呼ばれるデータプラットフォームの設計です。
都市OSとは、都市に存在する膨大なデータを蓄積・分析するとともに、他の自治体や企業、研究機関などと連携するためのプラットフォームのことです。都市OSは行政、物流、交通、観光、防災、社会福祉、教育、金融、環境、水道、電力など様々なデータを横断的に収集、複数サービスのデータ連携を行うことを可能にします。この都市OSの有無がスーパーシティであるかどうかの一つの目安でもあり、スーパーシティが全体最適化を目指す所以でもあります。

当社の取り組み


スマートシティ/スーパーシティは、IoT、AI、ビッグデータ、5Gなどの技術を利用して複数分野にまたがっての課題解決や最適化を目指す都市作りです。当社としては、IoT導入、制御、ビッグデータ収集・解析の両局面から技術支援により社会貢献してまいります。


自由な発想を未来へ