クラウドの影響
クラウドの概念がシステムの世界に持ち込まれ、既に世界中に浸透はしましたが、今もまだクラウドは進化を続けています。
クラウド利用の目的は、システム構築の迅速性、保守性の高さや、スケーラビリティ、セキュリティの観点など、様々ですが、今やあらゆるシステムが求め続ける要件に各クラウド環境が応え続けています。
プライベートクラウドとパブリッククラウドやオンプレミス環境も組み合わせたハイブリッドクラウドといった概念も生まれ、システム環境の合理化、運用の容易さといったテーマにおいて、クラウド前後で大きな差があります。
Saas, Paas, Iaasといったジャンルの各サービスも、日常的に利用するようになりました。もはや当たり前になったシステム設計思想であるマイクロサービスもクラウドの提供するサービス抜きにして考えることは出来ません。
マイクロサービスは、継続的なデリバリーとデプロイをSoE領域のシステムが強く求めたことから出発し、その広がりとともにクラウドの普及と進化が進んだという見方も出来ます。
より安定的に長期的に運用することを前提としたSoR系のシステムと比べ、社会や需要の変化に合わせ常に機能を刷新し続けることが生命線となるSoE領域において、柔軟性に乏しいシステムは命取りであり、マイクロサービスもクラウドもそのような背景から拡大を続けています。
またSoIの分野でも様々なサービスやツールは、分析の根幹であるデータの連携を必要とし、それは様々なシステムやアプリケーションの変化に柔軟なものである必要があり、SoEのように継続的に安定して使えれば良い、というものではありません。
コスト部門としてのシステムではなく、事業を実現するために外部に向けた営業方針を具現化し続けるITの象徴がクラウド環境だと捉えることも出来ます。IoT時代、5G時代においても、クラウド抜きで考えることが出来ません。
事務系分野では扱うことのなかった大量データを運用する時、クラウドの持つスケーラビティ無くして考えることは難しいでしょう。データ駆動型社会の舞台として、クラウドに期待されるものは大きくなるばかりです。
クラウドと言っても技術は多岐に渡ります。思想として、必要なものが一式揃っているものがクラウドではありますが、それを利用、選択できるだけの知識が求められます。
データベースやサーバにしても、従来型のシステムインフラやミドルウェアを選択するわけではなく、AWS、GCP、Azureと言った各環境で用意されたもの、且つ、標準化された仕組みを以って最大限効率的にシステム設計を行うことになります。
仮想化技術、コンテナ技術など、システムの運用を確実に、また容易にするシステム構成を前提とし、また、Infrastructure as Codeと呼ばれる、インフラの設定をコード化する技術も求められます。
他にも、SoEからの求めに応じ、機能の入替を繰り返し迅速に行う技術として、DevOpsも発達しました。効率的な開発環境と、確実なデプロイ運用環境から構成される技術です。
今、クラウド環境は、仮想化やコンテナ化の先、サーバレスの世界に入りました。仮想化でリソースの共有というテーマを、コンテナ化で移行容易性や負荷分散を実現、ベンダーロックインからも脱しました。
次に来ているサーバレスアーキテクチャは、マイクロサービスの思想の延長線上にあり、ミドルウェアや環境といったことを意識することなく、処理の実行を可能にする技術です。このようなクラウドの進化により、開発者は、環境からより自由になり、その恩恵はシステム実現の短縮という形で事業者に返ることになります。
Society5.0の到来を前に、新たなエコシステムを実現するしていくプラットフォームとして、クラウドが求められるものはまだまだ大きいのです。Society5.0で仮想空間と現実空間の融合が行われる中で、わたしたちはクラウドをより自由な環境と推し進めて行かなければなりません。